原題は The Artist’s Way。
「やりたいことをやれ」と言われても「自分自身、何がしたいのかわからない……」という人におすすめの本。
■ 何かをしてみたい気がするが、何をしたいのか具体的に掴めない
■ 自分の感情・感覚をうまく感じられない
■ 社会的な常識や倫理観を優先して生きてきた
■ 常に「こうすべき」「こうせねば」と意識して生きている
という人は、ぜひ読んでみてほしい。
「はじめに」から本の概要がわかる部分を引用しておく。
本書の目的は、実験と観察からなる単純な科学的アプローチによって、創造的に生きる方法を明らかにすることにあり、その方法を定義したり、説明したりすることにはない。電気を使うときに、電気とは何かを理解する必要はないのだ。私は創造性のワークを通して、陶芸家、写真家、詩人、脚本家、ダンサー、小説家、俳優、監督など、じつにいろいろな創作者に出会ってきた。出会った人のなかには、アーティストになる夢をもっているだけの人や、今よりもう少し創造的になることを夢見ているだけの人もいた。創造性をせき止められた画家、精神に破綻をきたして妙なことを口走る詩人、決定稿を仕上げようとしてノイローゼ気味の作家を見てきて、私は次のように信じるだけではなく、認識するようになった。
――あなたが何歳で、どのような人生を送ってきたにせよ、また、創作することが職業、趣味、夢のいずれにしろ、自分の創造性を引き出すのに遅すぎるということはないし、利己的でわがままだということもない。愚かすぎるということもない。「ずっと書きたいと思っていた」と言う五十歳のある生徒は、私のすすめたツールを用いて、賞を取るほどの脚本家になった。ある判事は、彫刻をしたいという長年の夢を果たした。このプログラムをやり終えたからといって、すべての人がプロのアーティストになるわけではない。だが、実際にプログラムをやり終えた多くのプロのアーティストが、より創造的になったと報告している。
ジュリア・キャメロン. ずっとやりたかったことを、やりなさい。 (Japanese Edition) (p.6). サンマーク出版. Kindle 版.
一言でまとめると、この本は「抑圧され、休眠状態になっている自分のなかの創造性を活性化し解き放つ」ためのもの。12週に渡るワークがメインコンテンツとなる。
この本のポイント
本書が主張する方法論は、「モーニング・ページ」と「アーティスト・デート」の2つだ。
ざっと読んでみて興味が湧いた人はぜひ書籍に目を通してみてほしい。
モーニング・ページ
モーニングノートは、朝起きたら、ノートなりコピー用紙なり、なんでもよいので紙に頭の中に浮かんだことを次々と書き出していくというワークだ。シンプルにただそれだけ。
ルールはただ1つ、3ページ埋めるまで書き続けること。
書くことが思い浮かばない場合は「書くことが思い浮かばない」と書けばいい。
とにかく意識の流れを紙に外在化していく。文字でも図でも、絵でも構わない。
これを続けていくことで、批判的な理性が働かなくなり、アートを司る頭脳が自由に動き出せるようになる。そして、自分が何を考え、何を欲しているのかがわかるようになる。
アーティスト・デート
アーティスト・デートとは、文字通りのデートだ。
ただし、現実の誰かを連れ出すのではなく、自分の内なるアーティストを連れ出す。
週に1回、2時間ほどの時間をとって、興味の向く場所に訪れる。その際、ここに行くべきといった社会的なべき論は置いておいて、自分の本心が向かいたいところへ行く。
デート中は、心の声に耳を傾ける。
「思ったよりつまらないな」と思ったなら、
その通り「思ったよりつまらなかったんだな」と受け止める。
そうしながら、五感で感じ、創造力の井戸を満たしていく。